日本で急速に普及が進む電子契約。業務効率化とコスト削減が可能な点から自社でも電子契約に切り替えたいと考えている企業もあるでしょう。しかし電子契約が紙文書と同等の法的効果を持つには複数の法律をクリアする必要があります。
そこで今回は、電子契約に関連する法律について簡単解説。知識が混ざりやすい法律も目的を抑えることで、理解しやすくなりますから、しっかり最後まで読んでみてくださいね。
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データ上で契約書の締結・保管できる「電子契約書」はコスト削減や、業務効率化、ペーパーレス化などが望めます。しかし電子契約関連の法律をしっかり押さえていないと、電子契約書の法的効力が弱く、万が一の時不利になる可能性さえあります。
以下で電子契約書を作成する際におさえておきたい「e-文書法」「電子帳簿保存法」「IT書面一括法」「印紙税法」をそれぞれ解説していきますので、しっかり押さえていきましょう。
契約書を電子化・保存する際に抑えておきたい法律としては「電子帳簿保存法」と、「e-文書法」があります。
電子帳簿保存法とは、1998年に施行された法律で、国税関係帳簿書類の保存方法について取り決めたもの。電子帳簿保存法では紙保存が原則となる国税関係帳や税帳簿書類を、税務署長等の事前承認を得ることを前提に、電磁的記録による保存を認めています。
電子帳簿保存法で対象となっていた書類は、国税関係書類を対象としており、紙文書をスキャナで電子化して保存することは認めれていませんでした。そのため多くの企業は引き続き膨大な紙データを保管することになっていました。
2005年に施行されたe-文書法は、これまで紙文書での保存が義務付けられていた約250の法令の書類に関して、スキャナによる電子化保存を認めた法律です。
インターネットの発達と共に、コミュニケーションはメールやチャットなどで行なわれる様になりましたが、電子契約書では本人確認ができない点や、改ざんが容易にできる危険性から、紙文書での交付・管理が当たり前でした。
しかし、紙文書をデータ化することが出来れば、業務効率化に繋がり、企業の競争力を高めることが出来るはずです。そこで電子化した契約書を、紙文書と同等の効力を持たせるために、決められたのが「電子署名法」。
電子契約では、本人による作成であると証明する”電子署名”と、改ざんが行なわれていないことを証明する”タイムスタンプ”を挿入することで、法的効力を持たせました。
その他にもおさえておきたい法律として「IT書面一括法」と「印紙税法」等があります。
IT書面一括法とは、紙文書での交付が原則だった書類を、メールやWebでの交付を認めた法律。印紙税法は、一定額以上の取引や領収書に対し、印紙税を課す法律です。しかしデータ化された領収書や契約書には印紙税を納税しなくてもよいという点も覚えておきましょう。
書類の電子化や保存方法について記されている「e-文書法」と「電子帳簿保存法」は紛らわしく、どうちがうのかと気になる方もいるでしょう。以下で両者の違いや、それぞれの特徴について解説していきます。
e-文書法と電子帳簿保存法の大きな違いは、対象となる書類でしょう。
e-文書法では約250の法令に対して、ひとまとめに電子データの保存を認める法律であり、電子帳簿保存法は国税に関する書類に対して、電子化保存を認めるもの。
コンピューターの発達により電子帳簿保存法の法改正も進み、紙で受領した領収書や請求書等をスキャンして保存することが認められました。さらには、スマートフォンによる領収書撮影が認められる等の利便性も向上しています。
電子署名法とは、電子契約を一般化するための法律で、電子契約書に紙文書と同様の法的効果を持たせています。電子署名法によって、電子書類に署名する際には「電子署名」と「タイムスタンプ」を挿入することが義務付けられました。
電子署名とは、紙文書でいうところの「署名・捺印」にあたるもの。国が認定する認証局で生成される署名で、本人以外が署名することはできません。これにより誰が書類に記入したのかが明確になります。
タイムスタンプとは、電子契約書の改ざん・紛失を防ぐためのもの。書面にタイムスタンプを挿入することで、いつその書類が作られたか、それ以降改ざんされていないかを証明します。
IT書面一括法では、訪問販売法や証券取引法などの50の法律において、書面による交付が義務付けられていたものを、メールやFAXなどで交付・手続きをしてもよいと定めている法律です。ひとまとめに複数の法律を改正したため「一括法」ともよばれています。
従来の書類での締結・保管が義務化されている状況は、企業の業務効率化を阻害する一因となっていましたから、IT書面一括法の施行によって、多くの企業の作業効率が引き上げられるでしょう。
印紙税法とは、領収書や契約書などの取引金額に応じて納める税金に関する法律です。
印紙税法の対象となるのは紙で作成されたものとなっているため、電子契約書には印紙税が課税されないという法令があります。そのためこれまでかかっていた収入印紙代が不要となるので、企業によっては大きなコスト削減になるでしょう。
電子契約で取り交わされる契約書が、紙文書と同様に法的効力を持つには、本人が自分の意志で署名したことと、偽造されていない事を証明する必要があります。
紙文書では、本人の署名や捺印があれば、その文書を本人が描いたと証明することが出来ますが、電子契約では本人確認が取れず、しかも改ざんされても気づけません。そのため、本人の手書き署名・捺印と同じ力のある電子署名やタイムログを用いることで、法的拘束力を持たせているのです。
電子署名法と名前が似ていることから、混同しやすい法律として「電子契約法」があります。電子契約法の目的は消費者の救済。消費者がうっかりミスで契約してしまった電子契約を、無効にできることを定めています。例えば、動画の再生ボタンを押した途端に、金銭を要求するような悪質なサイトを減らすことが可能です。
また契約がいつ成立するかも明記されています。従来消費者の申し込みによって契約締結となっていたが、電子契約法では、消費者からの受付を事業者側が内容確認し、消費者に注文承諾の通知が届いてから成立になると示されています。
電子契約法とは電視契約を作成する側ではなく、申込者の救済のためにある法律として覚えておきましょう。
電子契約の法律は2000年以降に整備されているものが多く、通信技術の発達と共に改正されています。
そのため電子契約書を作成する際には、最新の法律に則った書類を作成するようにしましょう。電子契約書は複数の法律をまたがって作成されているため、知識を要します。
法的効果のある契約書を作成するなら「電子契約作成ツール」を導入するのがオススメ。電子契約書類を作成できるだけでなく、セキュリティ対策や、書類検索機能を備えたツールを選べば、企業の作業効率は格段に上がるでしょう。
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